パリに出張で滞在していたある日。
夕食に招待され、北駅の裏にある知人宅へ向かった。
最近購入したばかりというアパルトマンはとても広く、天井の高い白い壁の室内。
浴室をのぞいてみると、ブルーのグラデーションのタイルで仕上げられた手作りの海の絵柄だった。
日本の小さなアパートで暮らす自分達にとって、まさに憧れの世界が広がっていた。
御主人の用意してくれたアペリティフを飲みながら時間を忘れてお喋りに夢中になり、
何気なく角の部屋の窓を開けてもらうと、そこには夕日の中に佇むオレンジ色に染まったサクレクール寺院が!
空から何かが降りてきそうな、そんな姿に言葉を失い、ただため息をつくばかり。
目まぐるしい毎日でついパリにいる事も忘れがちな、そんな自分の心がじんわりと潤っていくのを感じた。

色々な事が起こる日々の中、私は疲れた時に独りでそっと向かう場所がある。
皆さんにも自分だけの隠れ家のようなお店や空間をお持ちですか?



Page10(文・写真/ K. Tadano )



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