青いあじさい (訳: 井川 浩)
絵の具つぼに取り残された緑の様に
葉はそう 乾き、粗く、生気を失っている
その葉を覆って広がる花序の青は
花序自らの青ではなく かなたより投射された青の反映
あじさいは不確かに青を乱反射させる
まるで花序が再びその色を失いたいというがごとく
そして古びた青い便箋にあじさいの花序の
黄色、灰色、紫色が含まれているように
色褪せた子どものスモック
もう誰も着ない衣服 誰も見向きもしないもの
人生のはかなさを痛感させられる
だが突然 花序の一つの中で
青は生き返ったように見え 緑とたわむれる
瑞々しい青が目に入る ライナー・マリーア・リルケ
モンマルトルの雑貨店で買った、一枚のポストカード。とても繊細な色の表現がはかなくも美しい。
その時…初秋のイメージが浮かび、お店の壁にあじさいのシルエットを描いてみた。
日常の中のたった一枚のポストカードからインスピレーションを得られる事もある。それを大切にしたい。
Page12(文・写真/ K. Tadano )
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