街角でふと顔をあげると…マリア様がいた。
古い建物を白く塗り、今風に仕立てあげたブティックの壁に
塗り残されたマリア様は
下界の人々をいつでも見守っているように、見えた。

海外で困ったことは本当にたくさんある。
大抵はことは…自分の不注意や準備不足によるもの。
でもなぜか、「おたすけ」して下さる方が現れるのだ。

15年前。
前のお店に勤めていた私は、自分の力のなさもかえり見ず
フランス仕入れをオーナーに申し出た。
彼女は私を信用してくれ、フランスへ行かせてくれた。

今、考えれば無謀な知識の量だった。
しかもHOTELも予約せずに!!

飛行機で隣に座っていたムッシュウは
真の紳士だった。
奥様が空港に迎えに来てくれ、HOTELさえも予約してない!私を
家に一泊させてくれ、さらに次の日一緒にHOTEL探しもしてくれたのだった。

そして仕入れ先も、もちろん難航。
困り果て、サクレクール寺院の前でボーッとしてたら
なぜかその後、導かれるようにいろんな出会いがあり
フランス仕入れは不思議と上手く運んだ。

間違って電車に乗った時も、
電話がなくて困っている時も、
飛行機に乗り遅れそうな時も、
どなたかが助けてくれた。

本当にありがたことに
見守られているとしか思えないことがたくさんある。
それが…マリア様のちからなのか、
フランスの方達の親切心なのか
どちらかなのかわからないけれど

とにかく いろんなことに感謝する日々です。

でも、もし写真のように
本当に上からそっと微笑んで見ていてくれていたとしたら
なんだかとっても…暖かい気持ちになって、
どんな時も安心かも。



Page46(文・写真/ K. Tadano )   





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