去年の春、" MENTON "(マントン)というニース駅からいくつ目かにある小さな海岸沿いの街を訪れた。
どこまでも続く海岸の防波堤には昼寝をしている人や本を読んでいる人、スケッチブックに絵を描いている人など、それぞれが思い思いの時間を過ごしており、のどかで平和な風景をしばらく眺めながら歩いた。
信じられないほどの快晴だったその日、目的であった海に向かってそびえ建つジャン・コクトー美術館に到着。
城の様な外観、そして以外に小さな建物なのだと思いながら何気に中へ入るが、一瞬にして壮大な異空間に自分は吸い込まれてしまった!
力強い彼の彫刻作品と、その後ろの窓に広がる真っ青な海。
そのコントラストは言葉にはできない絶妙なもので、どうしてこの場所に美術館をつくったのか、その答えを即座に教えられたようだった。
「若い漁師と娘」の連作もあり、やはり海との組み合わせが抜群。

美術館から一歩外へ出ると、急激な早さで現実へ戻される。
彫刻の後ろに広がっていたあの海が、目の前をどこまでも続く。
ささやかな休日はジャン・コクトーの美術館により、とても印象深い1日となった。



Page5(文・写真/ K. Tadano )



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