「忙しさ」は、誰もがかかえてる問題のひとつ。
私も、もっと忙しい人はいっぱいいると思いながら、
ひとり右往左往するばかり。

札幌も大好きなのだけれど、
最近はパリ出張の時、一番ほっとしているかもしれない。
日本ではないという現実逃避と
心を癒す美しいものがたくさんあるというのも
その理由のひとつ。

散歩をするだけで、
キラキラとしたいろんなもの、場面が自分の目に飛び込んでくる。

小さな教会。
可愛いお花屋さん。
素敵なブティック。
美しい夕焼けのセーヌ川。
楽しそうな子供と犬。見守るお母さん。


ある時、交差点の前で。
抱き合うわけでもなく、目を伏せて向き合いじーっとしている、中年の男女を見かけた。
ふたりは動かずに、そこだけ時が止まっている。

「…よく帰ってきたね」
という感じで、ただお互いの真っ赤な頬を両手で包んでいた。
それが本当に嬉しそうだったー。
ふたりが兄妹なのか、夫婦なのか、友達なのかは知る由もないけれど、
なんだかそのお互いを大切に思ってる姿が、
美しい一枚の絵のようで…じっと見てしまった。
「素敵だなぁ」と
自分のちょっぴりすりきれた気持ちが、潤っていくのを感じた。


日々、忙しくてすり減ってしまう自分も時にはいるけれど、
そんな時こそ、歩いてみる。
歩いて、歩いて、歩いて。
そのうち、自分に必要なものが見つかるから不思議だ。

写真はエッフェル塔を真下から写したもの。
「こんなに綺麗なんだ…」と
歩くといろんな発見がある。
疲れた心も、これでかなり修復される。




Page62(文・写真/ K. Tadano )   





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