パリが魅力的な理由に
美術館の豊富さがあります。

名画はもちろんですが、
歴史が残る重厚感のある建物のなかに
最新のアート作品が並べられていたり、
新しいものと古いもの。ふたつの時間が交差するような、
面白い展覧会も現在のパリにはたくさんあるようです。

今もヴェルサイユ宮殿では、
日本の現代アート作家、村上隆さんの
アニメでポップな作品展が行われています。
私は見には行ってませんが、
ヴェルサイユ宮殿の豪華絢爛さと作品の面白さで
多分とても魅力がありそうです。

そして大きな美術館ではなくても、
ちょっとした街歩きに
驚きがあることも多いのがパリ。

写真は北マレにある、
「狩猟美術館」。

それは家路へ急いでいた時、
この美術館の横を通りかかり
目に飛び込んできたひとつの風景でした。

シックな美術館の中庭、
静けさのなかに横たわる
ふたつの恐竜のオブジェ。

頭のないー
考えることをやめた亡骸。
その真っ黒い空虚な首の穴は
大きなからだに広がっていました。

からだだけが大きくなった
中身のないもの…

なにかを語りかけられている気がして
ドキッとしました。

思考することを止めた時、
こんな姿になるのだな…と。

良い意味でー
何かを突き付けられるのが、
美術館やアート作品です。

心地よい刺激を求めて、
パリにいるときは少しでも
美術館に足を運びます。



「狩猟美術館」
Musee de la Chasse et de la Nature
62, rue des Archives 75003 Paris


Page 74 (文・写真/タダノカオル)

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