「Paris Dialy」〜パリのこと、日々の生活の様々なことを綴っていきます〜


十年以上前、パリでとても綺麗な銀杏の葉を拾いました。
手の平くらい大きな立派な葉。
歩いてた時にその綺麗さが目に止まり、ふと思い拾った大きな葉。

その葉をあげたい人が当時いて、
ノートに挟んで日本に持ち帰ったのですが、
結局その人にあげないままノートに鋏っぱなしで引出しにいれて数年。

何年か前、
たまたま掃除をしているうちにまたその葉が偶然でてきたのです。

綺麗な薄い茶色の中に、
うっすらまだ若い時のグリーンを残していた葉。
色は多少変わっていましたが、
やはりとても立派で美しい葉でした。

見つけた葉を、
くるくると指で回したり、
陽に透かしたりして眺めて、
しばらくは拾った時のことを思い出したりしたのに。

でも今またその葉がどこに行ったか
思い出せないのです。

  *****

今年も秋がまた来ます。

季節の中で、
秋が一番好きな季節。

ヨーロッパの森や公園は、
緑から茶色、幾重にも色が重なり深いハーモニーを創っています。
何通りもの色が存在し、それは日本にはない秋の色なのです。
ためいきがでるような情景。

そんなヨーロッパの森を、
この秋、一階のSYMBIOSISで表現したいと思いました。

8月後半、
ドイツとオーストリアで学んだフローリストの忠村香織さんと
コラボでFORTUNAの秋のコレクションを展示します。

それはきっと深いヨーロッパの秋の情景になるはず。
枯れていく姿にも、かえがたい美があります。

もしも、
あの葉がまた見つかったら…他の葉に紛れ込ませて、
飾ってみたい。

十数年前にあの葉を拾った時から、
こういうストーリーになっていたのかと思うと、
とても不思議な気持ちになるのです。



Page 92 (2012.07.18 文・写真/タダノカオル)

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